遺言執行者はなぜ必要?役割・選任するメリット・必要性が高いケースを解説
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遺言書を作成する際に、あわせて検討しておきたいのが「遺言執行者」の指定です。
遺言書に財産の分け方を書いておけば、亡くなった後に自動的にすべての手続きが完了するわけではありません。
実際には、相続人への連絡、相続財産の確認、預貯金の解約や払戻し、遺贈する財産の引渡しなど、遺言の内容を実現するための手続きが必要です。
しかし、
「遺言執行者は必ず指定しなければならないのか」
「相続人だけで手続きすることはできないのか」
「誰を遺言執行者に選べばよいのか」
と疑問に思われる方も少なくありません。
この記事では、遺言執行者が必要とされる理由や主な役割、指定するメリット、特に必要性が高いケースについて解説します。
札幌市西区琴似で遺言書の作成をお考えの方は、遺言執行者を検討する際の参考にしてください。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を実現するために、必要な手続きを行う人です。
民法では、遺言執行者は遺言の内容を実現するため、相続財産の管理や、そのほか遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を有すると定められています。
遺言執行者が権限の範囲内で遺言執行者であることを示して行った行為は、相続人に対して直接効力を生じます。
つまり、遺言執行者は単なる相続人の代表ではなく、遺言者の意思に沿って遺言内容を実現するための責任者といえます。
裁判所も、遺言執行者を「遺言の内容を実現する者」と案内しています。
遺言執行者は必ず必要なのか
遺言書を作成する場合に、遺言執行者を必ず指定しなければならないわけではありません。
財産の承継について記載した一般的な遺言であれば、遺言執行者がいなくても、相続人や受遺者が手続きを進められる場合があります。
ただし、遺言執行者がいない場合は、相続人が協力して各種手続きを進める必要があります。
相続人が多い場合や遠方に住んでいる場合、関係が良好でない場合などは、連絡や書類の取りまとめに時間がかかることがあります。
また、遺言による子の認知や、相続人の廃除・廃除の取消しなど、遺言執行者による手続きが必要になる内容もあります。
「必ず必要ではないから指定しなくてよい」と考えるのではなく、遺言内容や家族関係、財産の種類を踏まえて判断することが大切です。
遺言執行者が必要とされる5つの理由
1.遺言内容を実際の手続きへ移すため
遺言書は、遺言者の希望を書面に残すものです。
しかし、希望を記載するだけでは、預貯金の払戻しや財産の引渡しなどの手続きは完了しません。
遺言執行者が指定されていれば、遺言書の内容に従い、必要な手続きを一つずつ進める役割が明確になります。
遺言内容によって異なりますが、一般的には次のような事務を行います。
- 遺言執行者に就任したことと遺言内容を相続人へ通知する
- 相続人や受遺者を確認する
- 相続財産を調査する
- 財産目録を作成する
- 預貯金の解約や払戻しを行う
- 株式や有価証券の名義変更を進める
- 遺贈する財産を受遺者へ引き渡す
- 遺言で定められた内容に応じて関係機関の手続きを行う
- 手続きの経過や結果を相続人などへ報告する
遺言執行者を指定しておくことで、「誰が手続きを進めるのか」が明確になり、遺言の実現へ着手しやすくなります。
2.相続手続きをまとめて進めやすくするため
遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力を求めながら手続きを進めなければならない場面があります。
相続人が多い場合は、必要書類の案内、署名や押印の依頼、日程調整などに時間がかかることがあります。
相続人が道外や海外に住んでいる場合、疎遠な相続人がいる場合は、さらに調整が難しくなるかもしれません。
遺言執行者を指定しておけば、与えられた権限の範囲で手続きの窓口を一本化できます。
各相続人が個別に動くよりも、進捗状況や必要書類を把握しやすくなり、相続手続きの停滞を防ぐことにつながります。
3.残されたご家族の負担を軽減するため
ご家族が亡くなった後は、葬儀、死亡届、公共料金の解約など、短期間に多くの対応が必要になります。
その中で遺言内容を確認し、相続財産を調べ、金融機関などへ連絡することは、ご家族にとって大きな負担になり得ます。
遺言執行者をあらかじめ指定しておけば、遺言に関する手続きを担当する人が明確になります。
専門家を遺言執行者に指定した場合には、法律や実務上の注意点を踏まえながら手続きを進めてもらうことも期待できます。
遺言執行者の指定は、財産の分け方を決めるだけでなく、残されたご家族の事務的・心理的な負担を減らすための準備でもあります。
4.相続人以外への遺贈を実現しやすくするため
遺言によって、法定相続人ではない方へ財産を譲ることを「遺贈」といいます。
たとえば、内縁の配偶者、お世話になった方、孫や公益団体などへ財産を残したい場合が考えられます。
遺言執行者がいない場合、遺贈を受ける方が、遺言者の相続人と連絡を取りながら手続きを進めなければならないことがあります。
遺言執行者を指定しておけば、遺贈の履行を担当する人が明確になり、受遺者への財産の引渡しを進めやすくなります。
相続人以外の方へ財産を残したい場合は、遺言内容だけでなく、誰がその内容を実現するかまで決めておくことが大切です。
5.相続人間の対立や手続きの混乱を抑えるため
相続人の一人が手続きを主導すると、ほかの相続人から、
「財産の内容がきちんと共有されていない」
「自分に不利な手続きをしているのではないか」
と疑われることがあります。
遺言執行者には、任務を開始したときに遺言内容を相続人へ通知し、財産目録を作成するなどの義務があります。
遺言執行者が中立的な立場で手続きを進め、情報を整理して共有することで、相続人間の疑念や混乱を抑えやすくなります。
ただし、遺言執行者を指定すれば、相続トラブルを必ず防げるわけではありません。
相続人間ですでに対立がある場合や、遺言の有効性などについて争いがある場合は、弁護士への相談が必要です。
遺言執行者でなければできない手続き
遺言の内容によっては、遺言執行者による手続きが必要になります。
代表的なものは、次のとおりです。
遺言による子の認知
遺言によって子を認知する場合、遺言執行者が認知の届出を行います。
戸籍法では、遺言執行者は就任した日から10日以内に、遺言書などを添えて届出をしなければならないとされています。
相続人の廃除や廃除の取消し
被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしたなど、一定の事情がある推定相続人について、遺言により相続人の廃除を求める場合があります。
この場合は、遺言執行者が家庭裁判所へ廃除を請求します。
遺言によって廃除を取り消す場合も、遺言執行者が家庭裁判所で手続きを行います。
このような内容を遺言書に記載するときは、遺言執行者の指定が特に重要です。
遺言執行者を指定する方法
遺言者は、遺言書で遺言執行者を指定できます。
また、遺言書の中で、遺言執行者を指定する人を定め、その人へ選任を委ねることもできます。
遺言執行者を直接指定する場合は、氏名や住所、生年月日など、対象者を特定できる情報を記載しておくとよいでしょう。
指定された方が就任を断る可能性や、遺言者より先に亡くなる可能性もあります。必要に応じて、予備の遺言執行者を指定することも検討できます。
遺言書で指定されていない場合や、指定された人が就任できない場合には、相続人、受遺者や債権者などの利害関係人が家庭裁判所へ申し立て、遺言執行者を選任してもらうことができます。
家庭裁判所による選任手続きは、裁判所の「遺言執行者の選任」で案内されています。
誰を遺言執行者に選べばよいのか
遺言執行者には、相続人や受遺者を指定することもできます。
ただし、遺言内容や家族関係によっては、相続人を指定すると負担が集中したり、ほかの相続人との間に感情的な対立が生じたりする可能性があります。
遺言執行者を選ぶ際は、次のような点を確認しましょう。
- 遺言者の希望を理解しているか
- 相続人や財産の状況を把握できるか
- 書類の収集や各種手続きを進められるか
- 公平かつ誠実に対応できるか
- 相続人や受遺者へ適切に説明できるか
- 長期間にわたる場合でも対応できるか
なお、未成年者と破産者は遺言執行者になることができません。
財産が多い場合、遺贈がある場合、家族関係が複雑な場合などは、行政書士、弁護士などの専門家を指定することも選択肢となります。
ただし、不動産登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間の紛争対応は弁護士の業務です。必要に応じて各専門家と連携して進めます。
遺言執行者を指定する必要性が高いケース
次のような場合は、遺言執行者を指定しておく必要性が高いと考えられます。
- 相続人が多い
- 相続人が遠方や海外に住んでいる
- 相続人同士が疎遠である
- 高齢などの理由で手続きが難しい相続人がいる
- 預貯金や有価証券など複数の財産がある
- 相続人以外の方へ財産を遺贈したい
- 不動産や事業用財産を特定の方へ承継させたい
- 遺言による認知や相続人の廃除を予定している
- 寄付をしたい
- 相続人の一人に手続きの負担を集中させたくない
- 遺言内容を中立的な立場で実現してほしい
遺言書の内容が複雑になるほど、作成時から執行方法まで考えておくことが重要です。
遺言執行者を指定するときの注意点
事前に候補者へ相談する
遺言書で指定された方には、就任を断る選択肢があります。
遺言者が亡くなった後に初めて指定されたことを知り、負担の大きさから就任を断ることも考えられます。
可能であれば、あらかじめ候補者へ役割や遺言の概要を説明し、引き受ける意思を確認しておきましょう。
権限や報酬を明確にする
遺言執行者の権限は、遺言内容によって異なります。
どの財産について、どのような手続きを依頼するのかを明確にしておくことが大切です。
報酬を支払う場合は、遺言書で金額や計算方法を定めることもできます。
遺言書の内容と執行方法を一緒に考える
実現することが難しい内容や、対象財産が特定できない内容では、遺言執行者を指定していても手続きが進まない可能性があります。
遺言書を作成するときは、
「誰に何を残すのか」
だけでなく、
「誰が、どのような方法で実現するのか」
まで考えておきましょう。
札幌市西区琴似で遺言書・遺言執行者のご相談なら行政書士宇野敏志事務所へ
遺言執行者は、遺言書に記載された内容を具体的な手続きによって実現する責任者です。
すべての遺言で指定が必須というわけではありませんが、手続きの窓口を一本化し、残されたご家族の負担や混乱を減らすために重要な役割を果たします。
特に、相続人以外への遺贈、複数の財産や複雑な家族関係がある場合は、遺言書の作成とあわせて遺言執行者を検討することが大切です。
札幌市西区琴似の行政書士宇野敏志事務所では、相続を中心に、遺言・終活・成年後見に関するご相談を承っております。
相続人調査、相続財産の整理、遺言書の原案作成、遺言執行者の指定に関するご相談など、ご希望に沿った遺言書作成をサポートいたします。
遺言執行者への就任や、遺言内容の実現に向けた各種手続きについてもご相談ください。
初回相談は無料です。札幌市西区・琴似周辺の方はもちろん、北海道全域に対応しております。
